ヤングケアラーを取り巻く環境改善に向けて
日本の未来を支え、患者さんなどケアを必要とする人を支える子どもたちのより豊かな人生への貢献を目指す
日本イーライリリーは、2022年9月よりヤングケアラーを取り巻く環境改善に向けて取り組みを始めました。
日本の未来を支え、患者さんなどケアを必要とする人をも支える子どもたちのより豊かな人生は、私たちが関わりを持つコミュニティの持続的な発展につながるものであり、OUR PURPOSE(使命)の実現に大きく関係するものです。
日本イーライリリーが培ってきたヘルスケアに関する知見や、民間企業ならではの組織力、そして原動力となる社員の「思いやり」は、「ヤングケアラーを取り巻く環境改善」という黎明期の課題に対する一助となり得るのではないかと考えています。ヤングケアラー支援の“これから”を創っていく伴走者として 、全国の支援団体や行政との協働も視野に、ヤングケアラーに関わる人を繋ぎ、未来への選択肢を増やす取り組みを進めます。
取り組む3つのテーマ
1.ヘルスケア等に関する情報へのアクセス改善や知識向上
日本イーライリリーが培ってきたヘルスケアに関する知見を活かしたり、支援団体や学校、行政などと連携し、ヘルスケア等に関する図書の寄贈などヤングケアラーが必要な情報へのアクセス改善や知識向上を目指します。
2.支援団体等による提供サービスのサポート
支援団体や行政の提供サービスを、資金面や広報など運営に関わる支援および協働をすることにより、多くのヤングケアラーへの間接的な貢献を目指します。
3.ヤングケアラーに対する社会の認知向上
民間企業としての全国的な組織力や発信力を活かし、社員やその家族をはじめ、医療関係者や地域の方々など、より多くの方にヤングケアラーの認知が広がることを目指します。
社員が主体となってヤングケアラー支援に取り組む
日本イーライリリーは、革新的医薬品の開発・提供という患者さんへの貢献、さらにはビジネスにとどまらない取り組みによるソーシャルインパクトの創出に努めています。
こうした考え方を基本とし、全国各地の営業職社員をはじめ、開発部門、管理部門、また西神工場など様々な部署から集まった有志社員30名程度のグループが毎年新たに組織され、課題の見直し、課題に対する活動の設定、イベントの実施から活動報告まで、社員リードの活動として取り組んでいます。
2023年の取り組み
2022年からアドバイスを頂き、協働を進めている「特定非営利活動法人ふうせんの会」や「神戸市 こども・若者ケアラー相談・支援窓口」に加えて、「公益財団法人日本財団」や「子ども・若者ケアラーの声を届けようプロジェクト(立命館大学人間科学研究所内)」、「一般社団法人ヤングケアラー協会」との意見交換を重ね、今 ヤングケアラーを取り巻く状況や周りの環境がどうなのか、また企業に何が求められ何が出来るのか、など有志社員のメンバーを中心に熟考してきました。
10 月15 日、子ども・若者ケアラーに関する気づきと正しい理解を広げるため、 「神戸市 こども・若者ケアラー相談・支援窓口」によるご講演、および「子ども・若者ケアラーの声を届けようプロジェクト」の研究者、ケアラー経験のある日本イーライリリー社員が登壇し「ケアと就業」をテーマにトークショーを行いました。「ヤングケアラー当事者の就職に関する不安や現状」、「若者のケアと就業を企業や社会はどう捉えていくべきか」などに関しての話題提供があり、100 名以上のご参加者とともに、企業や自分たちに出来ることを考えたり、様々な関係者の連携の重要性への気づきがありました。
2023年の成果については、ニュースレターもご覧ください。
ニュースレター(日本イーライリリー、ヤングケアラーを取り巻く環境改善に向けた 2 年目の取り組み 社内理解の醸成で、“気づき”を広げる社員たちのアクションは全国へ拡大)
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全国で「気づきを広げる」図書寄贈 |
2022年の取り組み
2022年2月の有志社員によるプロジェクト立ち上げから具体的な取り組み開始までの過程、1年目の成果については、ニュースレターをご覧ください。
ニュースレター(日本イーライリリーがヤングケアラー支援の取り組みを開始~有志社員によるプロジェクト構想から活動開始まで~)
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最初の取り組みとなったのは2022年9月に実施されたリリージャパン・デイ・オブ・サービス(DOS)です。今後の基盤を作るため、取り組みの担い手となる社員への「ヤングケアラー」の実態の認知・理解を向上する活動をスタートしました。
同年9月に「ふうせんの会」の代表の方をリリージャパン神戸本社に招き、社員向けの講習会を開催。また社長のシモーネ・トムセンと社員でのチャリティーウォークを実施しました。
DOSの期間中、チームごとの勉強会やチャリティーウォーク、社内SNSでの思いの共有などヤングケアラーに関する取り組みは、すべて有志社員による自発的な企画、運営によって実施、促進されました。結果として、日本イーライリリーがマッチング募金制度を活用し、これらの活動に応じた総額400万円を「ふうせんの会」、「社会福祉法人中央共同募金会(赤い羽根共同募金)」および「ひょうごボランタリープラザ」に寄付しました。この募金にはヤングケアラーの支援および神戸で震災を経験した企業として震災・災害復興支援の目的が含まれています。
同年10月にはDOSクロージングイベントとして、「ふうせんの会」メンバーと元ヤングケアラーであった社員によるパネルディスカッションを開催し、さらにヤングケアラーへの理解を深めるとともに今後の取り組みの議論などを行いました。
ヤングケアラーへの思いを載せた書籍の寄贈
日本イーライリリーは、ヤングケアラーに寄り添えるよう選書した53冊の書籍をふうせんの会に寄贈しました。
ヤングケアラーと社会をつなぐことを目的に、①ヤングケアラーの認知啓発、②レスパイト(子どもらしい、自由な時間)、③料理などの家事、④ヘルスケア関連といった4つのジャンルで、社員アンケートおよび元ヤングケアラーの経験をもつ社員の声をもとに本の選出を行い、最終的には「ふうせんの会」の皆さんと書籍寄贈プロジェクトメンバーで最終的に書籍の選定を行いました。さらに、たくさんの大人が寄り添おうとしていることや本に込めた思いを伝えたいと考えて、特にプロジェクトメンバーがお勧めする書籍には、そのポイントを記載したメッセージを貼り付けました。
日本イーライリリーは書籍寄贈を通して、将来に向けてたくさんの選択肢があることや多様な考え方や生き方があることをヤングケアラーの子どもたちに示し、寄り添う大人の存在に気付いてもらい、社会とつながるきっかけになることを期待しています。
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2022年12月5日(月)、「ふうせんの会」のメンバーをお招きし、書籍寄贈記念イベントを開催しました。寄贈する53冊やメッセージのお披露目とともに、選書への思いやお勧めする書籍のポイント、書籍への期待を語り合うトークセッションを行いました。 |
ヤングケアラーとは
日本の超高齢社会において在宅でのケアは重要なテーマの1つですが、その中で、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っている子どもたち、いわゆる「ヤングケアラー」の存在が注目され始めています。
実態調査や公的機関の支援は徐々に始まっていますが、当事者自身も周囲もまだまだヤングケアラーという存在への認識は低く、支援の手がなかなか届いていない状況があります。そのため、当事者を含めたヤングケアラーの認知度向上と早期発見、把握、さらなる支援策の推進が課題となっています※。
※ヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチームとりまとめ報告概要(2021年5月17日、厚生労働省・文部科学省の副大臣を共同議長とするヤングケアラーの支援に向けた福祉・介護・医療・教育の連携プロジェクトチーム)